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黒海回廊の再開で鉄鋼・鉄鉱石生産が急回復
GMK Centerが発表した調査「2024年におけるウクライナ経済への鉄鋼業の貢献」によると、ウクライナの鉱業・金属産業のGDP寄与率は2024年に7.2%へと増加した(2023年は5.7%)。戦時下にもかかわらず、同国の鉱業・金属産業は依然として経済の柱である。
この成長は、粗鋼生産が前年比+21.5%、鉄鉱石生産が+55.2%と大幅に増加したことに起因する。特に、黒海港からの輸出を可能とする「海上回廊」の再稼働が、生産回復を後押しした。
経済全体の成長率は3.6%にとどまった中で、鉄鋼業の存在感は際立つ。
世界市場への復帰とEU連携、投資再開への布石
ウクライナの鉄鋼業は、輸出の再開により国際市場での地位を回復しつつある。2024年には世界第3位の銑鉄輸出国となり、鉄鉱石輸出でも世界トップ5に復帰した。
欧州市場との結びつきも強く、ウクライナの鉄鋼輸出の64%がEU向けであった。これは、同国鉄鋼業が欧州のサプライチェーンに不可欠な存在であることを示す。
2024年の鉄鋼業界の設備投資は、前年比8.3%増。これは、ウクライナ産業全体の設備投資の18.3%を占めており、同国における重要セクターであることが再確認された。
税収面でも地域経済を支える基幹産業
戦争の影響で大規模な設備投資は一部停止されているが、戦後の再開が期待される。一方で、メティンベスト、アルセロール・ミッタル・クリヴィー・リフ、フェレックスポなどの大手鉄鋼企業は、2024年に合計9億ドルの税金を支払い、国の防衛・社会支出を支えた。
これらの税収は、地方自治体の財源確保にも不可欠であり、鉄鋼業の安定運営が地域経済の生命線となっている。
なお、2025年は世界市場の不透明感や国内情勢により、再び生産の減少が予測されている。
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STEEL