ウクライナの鉄スクラップ輸出は国家経済にとって不利益──Metinvest COOが警鐘

Metinvest COO

ウクライナの大手鉄鋼・鉱業グループMetinvestの最高執行責任者(COO)オレクサンドル・ミロネンコ氏は、Business Wisdom Summit 2025において、「鉄スクラップの輸出増加は、国内鉄鋼業の原料不足を招き、国家経済にとっても損失をもたらしている」と強調した。

ミロネンコ氏によれば、ウクライナのスクラップ輸出量は2022年比で約6倍に拡大。2024年は29万3,200トンと前年比60%増加し、2023年の18万2,500トン(前年比3.4倍)、2022年の5万4,100トンから急増している。2025年第1四半期には前年同期比で32%増の8万900トンを記録した。

「スクラップは1トン250ドルで輸出される一方、同量の鋼材は550~600ドルで販売できる。国内で使用した方がはるかに付加価値が高く、1トン当たり1,200フリヴニャの外貨収入と1万5,000フリヴニャの税収が得られる」と同氏は述べ、輸出規制の必要性を訴えた。

さらに、鉄鋼業界が直面する課題として、電力・ガス・鉄道といった国営インフラサービスの料金急騰を挙げた。2021年以降、電力送電コストは2.3倍、ガス輸送は4倍、鉄道運賃は1.7〜2.4倍に上昇しており、企業にとって大きなコスト増要因となっている。

また、従業員不足も深刻で、Metinvestグループでは全体の10〜15%の人員が不足しているという。

同社はウクライナ国内での粗鋼生産の回復・拡大のためにも、鉄スクラップの安定供給と政策的支援が急務であると訴えている。

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