Pursuit Minerals、アルゼンチンでリチウムカーボネート初生産

Pursuit Minerals

スケーラブルな製造プロセスが確立、オフテイク交渉も本格化へ

オーストラリアの探鉱企業Pursuit Minerals(ASX:PUR)は、アルゼンチン北部サルタ州のパイロットプラント(年間250トン規模)において、初のリチウムカーボネート(LCE)生産に成功した。

今回使用されたのは、同社のリオ・グランデ・スール・プロジェクトと同一成分の合成かん水であり、純度98.9%のLCEを得ることに成功。これにより、従来型のスケーラブルな処理フローが有効であることが実証された。

次フェーズは現地移設と試験池建設、バッテリーグレードも視野に

Pursuitは今後、パイロットプラントをリオ・グランデ・スール現地へ移設し、低コストの蒸発試験池を建設。現地の実かん水を用いた小規模生産試験に移行する計画だ。

同時に、オフテイク(販売契約)候補先との交渉も強化。年間5,000トン規模のフェーズ2開発に向けたフィージビリティスタディ(FS)も進行中で、資本効率の高い段階的開発戦略を掲げている。

CEOのアーロン・レヴェル氏は、「本生産成功は当社のプロセス設計と技術力の有効性を明確に示す成果だ」とし、「ASX上場企業でここまでの技術的・運営的進捗を遂げた企業は稀」と述べた。

今後は、バッテリーグレード(純度99.5%)の安定生産を目指し、プロセス回路の最適化を進める。初期ロットの高純度サンプルは、オフテイク交渉対象者に提供され、製品認証や販売契約形成に活用される予定だ。

価格低下の中で問われる競争力、世界供給は拡大基調

Fastmarketsによれば、世界のリチウム市場は供給削減と一部下流需要の回復により年内に逼迫が予想される。一方で、2024年のLCE生産量は1,200万トンに近づき、2022年の737,000トンから急増した。

しかしながら、リチウムカーボネートの価格は2024年11月以降で最安値を記録しており、2025年3月には1トンあたり16,517ドルまで下落した。

今後は中国、オーストラリア、アルゼンチンで新規供給が進む見通しで、2030年までに年平均10%の成長が予測されている。Pursuitにとっては、この市場環境下でコスト競争力と製品純度の確保が成功の鍵となる。

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