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VHM Ltd |
生産開始は2026年末に後ろ倒し 長期需要には強気姿勢
オーストラリアのレアアース供給拡大に遅れが生じている。VHM社は、ビクトリア州Goschenプロジェクトの商業生産を6カ月延期すると発表した。稼働開始は当初予定の2026年前半から2026年末に変更され、今回で2度目のスケジュール修正となる。
このプロジェクトは年間1.5百万トンの鉱石を処理し、4,300トンのレアアース鉱物精鉱を生産する計画。稼働から3年間はこの水準を維持し、2029年末には年9,000トンへと生産能力を倍増させる計画が示されている。VHMは、9,000トン体制に対応したオフテイク契約を6,400トン分確保しており、市場の先行きに強い自信を示している。
政府支援でレアアース戦略進展 Arafura・Ilukaも追随
一方、オーストラリア政府はクリティカルミネラル戦略の一環として、同国のレアアース産業に継続的な資金支援を行っている。直近ではArafura Rare EarthsのNolans計画に2億豪ドルを拠出し、Iluka ResourcesのEneabba製油所にも4億豪ドルの融資を提供した。
これらの投資は、国内精製能力の強化とサプライチェーンの多様化を目的としており、地政学的リスクへの備えとして評価されている。
市場は不安定でも長期見通しは堅調
レアアース価格は依然として短期的な変動要因に左右されている。たとえば、中国FOB価格ではプラセオジム・ネオジム酸化物が2024年2月の55,550ドル/トンから、2025年2月には6万ドルに上昇。ただし、2022年3月の過去最高値17万4,750ドル/トンには遠く及ばない水準だ。
しかし、電動車や風力発電機における需要拡大は今後も続くと見られ、VHMの生産拡大計画と契約実績は、中長期での市場安定への期待を反映している。
Goschen計画は、オーストラリアが信頼できるレアアース供給国として地位を固める鍵となるだろう。
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